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2026.05.29

介護施設の月額費用、4人に1人以上で「入居時より高くなった」
〜電話取材で深掘りされた、物価高騰下の介護施設費用と家族の意思決定〜

株式会社Speee(本社:東京都港区、代表取締役:大塚英樹、東証スタンダード:4499)が運営する介護施設の検索・口コミサイト「ケアスル 介護(https://caresul-kaigo.jp/)」は、長期化する物価高騰のなかで介護施設の利用料金がどのように変化し、入居者やそのご家族にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにするため、現在介護施設に親族・家族が入居中の方を対象にしたアンケート調査を実施しました。あわせて、自社が蓄積してきた電話取材記録(体験談・利用者口コミ)から、費用負担の実態についても分析を行いました。

本調査の結果、入居時に施設から提示された月額費用と、現在実際に支払っている月額費用を比較したところ、入居後に費用が増加した家族は26.4%にのぼりました。さらに、施設から値上げを通知された経験のある家族は39.35%(n=493)となり、施設側の経営努力だけでは吸収しきれない構造的なコスト上昇が要因となっています。

【調査結果サマリ】

  • 入居時の提示額と現在の支払額を比較すると、4人に1人以上(26.4%)の家族で月額費用が増加していた(n=379)
    • 同額のまま推移している家族は57.0%、減額となった家族は16.6%
    • 値上げが「通知」されたか否かに関わらず、現に支払額が増えている実態が独自集計で確認された
  • 施設から値上げを通知された経験のある家族は約4割(39.35%/n=493)。通知時期は直近1年以内が61.86%を占める
    • 直近6ヶ月以内に最初の通知を受けた家族は34.02%(n=194中)
    • 値上げの動きは過去数年の累積ではなく、足元で集中的に進行している
  • 値上げの理由として最も多く説明されたのは「物価・光熱費の上昇」60.31%、次いで「食料品・日用品の値上がり」48.97%(n=194、複数回答)
    • 「人件費・スタッフの賃上げ対応」36.08%、「円安による仕入れコストの上昇」25.77%が続く
    • 「中東情勢・原油価格の上昇による影響」も14.43%(28件)で説明されており、原油価格・中東情勢に連動する間接的な影響が介護現場に波及しつつある可能性が示唆された
  • 費用負担を理由(費用値上げ以外の負担も含む)に、転居・退去を検討または実行した家族は合計34.48%(n=493)。実際に退去した/予定の家族は11.76%
    • 「年金の範囲内で支払えなくなった」「資産を取り崩している」といった具体的な描写が電話取材で確認された

トピックス1:入居後に月額費用が上がった家族は4人に1人以上(26.4%)

入居時に施設から提示された月額費用と、現在実際に支払っている月額費用を比較。両設問でともに具体的な金額帯の取材結果が得られた379件を対象に集計。

比較結果 件数 割合
入居後に費用が増加した 100件 26.4%
入居時と同額のまま 216件 57.0%
入居後に費用が減少した 63件 16.6%
合計 379件 100.0%

入居時に施設から提示された月額費用と、現在実際に支払っている月額費用について、それぞれの取材結果を比較しました。その結果、入居後に費用が増加した家族は379件中100件(26.4%)と、4人に1人以上で実支払額が増えていることが確認されました。

この26.4%という数値には、明示的に値上げ通知を受けたケースのほか、要介護度の変化やオプションサービスの追加など、複数の要因が含まれていると考えられます。重要なのは、「値上げ通知を受けたかどうか」ではなく、「実際に家計が払う金額が増えているかどうか」という観点で捉えると、現在進行形で支払い負担が増している家族が一定数存在しているという事実です。

取材では、費用増加の実態として以下のような家族の声が確認されました。

このご家族は、施設のサービスやスタッフへの満足度は高かったにもかかわらず、施設側の利用料値上げ(月々1万円)を機に、父の年金収入では長期的な支払い継続が難しくなり、転居を決断しています。サービスへの不満ではなく、純粋に「施設が値上げした結果として家計が成り立たなくなった」という転居が、取材を通じて繰り返し確認されました。介護施設の月額費用は家計にとって長期かつ固定的な支出であり、わずかな値上げの積み重ねが家計の持続性を脅かす構造になっています。

トピックス2:値上げ通知を受けた家族は4割。理由の最多は「物価・光熱費の上昇」60%

施設からの値上げ通知の経験率(上段・n=493)と、通知を受けた家族における最初の通知時期の分布(下段・n=194)。

値上げ通知の経験 件数 割合
通知を受けた経験あり 194件 39.34%
通知を受けたことはない 205件 41.58%
わからない 94件 19.07%

施設から「利用料の値上げ」を通知された経験について取材したところ、493件のうち194件(39.35%)の家族が値上げ通知を受けたことが確認されました。さらに、その通知を受けた時期を見ると、直近1年以内に最初の通知を受けた家族は61.86%(120件)にのぼり、値上げの動きは過去の累積ではなく、足元で集中的に進行していることが取材で明らかになっています。

値上げの理由として施設から説明されたこと(複数回答、n=194)。割合は通知を受けた194件に対する比率。

値上げの理由(複数回答) 件数 割合(n=194)
物価・光熱費の上昇 117件 60.31%
食料品・日用品の値上がり 95件 48.97%
人件費・スタッフの賃上げ対応 70件 36.08%
円安による仕入れコストの上昇 50件 25.77%
介護保険制度の改定 39件 20.10%
中東情勢・原油価格の上昇による影響 28件 14.43%
特に説明がなかった 4件 2.06%
その他 1件 0.52%

値上げの理由として施設から説明された項目を分析したところ、最も多かったのは「物価・光熱費の上昇」で194件中117件(60.31%)。続いて「食料品・日用品の値上がり」が95件(48.97%)、「人件費・スタッフの賃上げ対応」が70件(36.08%)と、いずれも社会全体の物価高騰・賃上げ圧力と直結する項目が上位を占めました。

注目すべきは、「中東情勢・原油価格の上昇による影響」を理由として説明された家族が14.43%(28件)に達した点です。介護施設の運営コストは、食材・燃料・備品など輸入物価の影響を受ける項目を多く含みます。中東情勢や原油価格の動向が、こうした原材料を経由して介護施設の運営コストに徐々に波及しつつある可能性があり、今後の動向には注視が必要です。

これらの理由の多くは、施設側の経営努力だけでは吸収しきれない構造的なコスト上昇要因です。介護報酬は公定価格であり、施設の自由裁量で吸収できる範囲には限界があるため、結果として上乗せ分が利用者・家族の負担として転嫁される構造になっています。

トピックス3:費用負担を理由に退去を検討・実行した家族は3人に1人(34.48%)

費用負担を理由とした施設の転居・退去の検討・実行状況(n=493)。

  

費用負担を理由とした転居・退去の状況 件数 割合
実際に転居・退去した/する予定 58件 11.76%
検討したが、転居・退去はしない予定 112件 22.72%
検討したことはない 323件 65.52%
合計 493件 100.00%

また、費用負担を理由(費用値上げ以外の負担も含む)に施設の転居・退去を検討または実行したかを取材したところ、493件のうち170件(34.48%)の家族が、何らかの形で退去を視野に入れていたことが確認されました。さらに、実際に転居・退去をした/する予定の家族は58件(11.76%)にのぼり、約8人に1人が費用負担を理由に住み慣れた施設を離れざるを得ない状況にあることが明らかになっています。

ケアスル 介護が蓄積してきた電話取材記録のうち、退去理由のヒアリングが得られた547件を分析したところ、47件(8.6%)が費用・金銭的負担を退去の主因として取材で語っていました。サービスや職員への不満ではなく、純粋に「家計が支えきれなくなった」という理由での退去が、取材を通じて繰り返し確認されています。

このご家族の語りは、費用負担を理由とした退去の典型的な構造を示しています。施設のサービスやスタッフの対応に対する満足は高いにもかかわらず、要介護度の上昇に伴う利用料の増加、そして年金収入と支出のバランスの崩れによって、より費用の抑えられる別の施設(特別養護老人ホーム等)へ移らざるを得ない──という意思決定が、20〜30分の電話取材によって深く掘り下げられています。

取材では、これ以外にも以下のような描写が確認されました。

「長期的に見ると経済的な負担が大きいと感じるようになり、スタッフの方が特養への転居を勧めてくれました」
「最近の物価高、際限なく繰り返される食料品値上げ、それらの要因は今後入居者に対する入居費用値上げに跳ね返ります」

これらは個別の取材コメントですが、いずれも費用負担が「サービスへの不満なき退去」を引き起こす構造を浮かび上がらせています。介護施設選びにおいて、入居時の費用だけでなく「入居後の費用変動リスク」までを織り込んだ意思決定の重要性が、本調査によって示唆されました。

【参考】2026年8月、国の制度改定でも介護保険施設の負担額が引き上げへ
こうした民間施設による値上げの動きに加え、国の制度上でも追加的な負担増が予定されています。厚生労働省は2026年3月13日、介護保険施設における入所者の食費・居住費の負担限度額を見直す告示(令和8年厚生労働省告示第88号)を公布しました。2026年8月1日からの施行が決まっており、同省は「介護保険最新情報Vol.1481」を発出し、現場関係者への周知を進めています。

今回の改定の主な対象は、市町村民税非課税世帯のうち年金収入等が年120万円を超える「第3段階②」の入所者です。改定後の変更内容は以下の通りです。

費目 改定前 改定後 変化
食費(第3段階➁) 1,360円/日 1,420円/日 +60円/日(月約1,800円増)
居住費・ユニット型個室(第3段階➁) 1,360円/日 1,420円/日 +60円/日(月約1,800円増)

厚生労働省はこの改定の背景として「在宅生活者との公平性」と「物価高騰による施設コストの上昇」を挙げています。今回の調査で明らかになった施設独自の値上げ(Q4:39.35%が通知経験)に加え、制度としての負担増が重なることで、一定の所得層にある入所者家族は2つのコスト上昇局面を同時に迎える形となります。

【調査概要】
調査名:介護施設入居者・家族を対象とした料金・費用に関する実態調査(第4弾)
調査対象:現在、介護施設に親族・家族が入居中の方
サンプル数:
  ・n=493:アンケート集計数(男性332、女性161)
  ・n=379:具体的な金額帯を回答いただいた人数 ※費用は開示されていないなどと答えた方など114件を除外
調査期間:2026年5月13日〜5月15日
調査方法:インターネットアンケート
補足分析:「ケアスル 介護」に蓄積された電話取材記録のうち、退去理由のヒアリング結果が得られた547件、および費用に関する利用者コメント16,853件を補完的に分析対象とした。取材記録は専任インタビュワーによる1件あたり20〜30分の電話取材により取得しており、介護施設を対象としたインタビュー取材型口コミサイトとしては業界唯一の手法(※)である。

(※2026年4月時点、自社調べ。主要介護施設検索サイトを対象とした比較調査による。)

◼️ケアスル 介護について
「ケアスル 介護(https://caresul-kaigo.jp/)」は、株式会社Speeeが運営する介護施設の検索・口コミサイトです。全国の介護施設情報を網羅し、入居相談から施設見学の手配までをワンストップで支援しています。

最大の特長は、業界唯一のインタビュー取材型口コミです。専任インタビュワーが入居者のご家族に1件あたり20〜30分の電話取材を実施し、何度も深掘りを重ねることで、一般的なユーザー投稿型口コミでは拾いきれない実体験の細部まで忠実に反映しています。さらに、入居中のご家族だけでなく、すでに退去された方のご家族にも取材を行うことで、施設との利害関係に左右されない中立性の高い口コミを提供しています。

公開済みの体験談は1,646件(2026年4月時点)にのぼり、介護施設選びにおける情報の非対称性を解消し、利用者が納得のいく意思決定を行えるよう支援しています。