Interview
顧客に向き合い、サービスの形を進化させる。Speee DX事業の展望 – 池田剛
Producer
▼池田 剛
新卒で不動産ディベロッパーに入社し、創業期のSpeeeにジョイン。医療・ヘルスケア事業、アプリ事業など、数々の事業企画を歴任し、リフォーム事業の新規立ち上げに携わった後、2017年1月よりデジタルトランスフォーメーション(以下DX)事業本部内で事業責任者となり不動産領域事業を業界シェアNo.1に導く。 主に経営企画・投資企画の策定、実行推進、アライアンス・M&Aなどの渉外業務などを担っている。
好奇心を原動力に。事業責任者として課題と向き合う
約3年前から、DX事業本部で事業責任者を拝命しています。先日のインタビュー記事で田口も話していましたが(参照:リアル産業のバリューチェーンを変革する。Speeeが挑戦するDXとは)、Speeeは複数の事業を展開する「スタートアップの共同体」のような会社です。そのため事業責任者には大きな裁量・権限があり、ヒト・モノ・カネの経営資源をコントロールしています。
例えば、投資予算の利用先・利用額の決定権や、人事機能や経理・財務機能を事業ごとに保有し、戦略的な意思決定が迅速に行える体制になっており、新しい事業やサービスを迅速に、且つ大きく伸ばすために必要な裁量や権限は事業責任者に十分にエンパワーメントされています。
この環境下では、事業責任者は経営者視点で物事を考え、実行する責任が求められます。だからこそ経営者視点を持った人材を育成しやすく、それがSpeeeの強みになっていると感じています。私と一緒に働くメンバーにも、同様の視点・視座を求めるコミュニケーションを行いながら大胆にエンパワーメントし、経営者視点を持った次の事業責任者やマネージャーを育成するのも私の重要な役割です。
そんな重責のある事業責任者を楽しめているのは、自分の仕事観が大きく関与しているからだと思っています。私は、難解で不可能と思われるテーマを見つけて、その真理やメカニズムを解明すること、その好奇心を、人生を送る上で重要な価値観と置いています。
その価値観は仕事をする上での原動力にもなっているのですが、Speeeは裁量や権限が広く自由に動くことに理解を示してくれ、ソリューションやアクション一つとっても、幅や選択肢を限定されずにゼロスクラッチで考えさせえてもらえるので、難しいですがやりがいはありますね。
事業責任者の話をもらったときは、新たな課題に対峙し解法を創出していく機会により大きく真っ直ぐ向き合えることに、純粋にワクワクしました。想像した通り、解決すべき課題は深く難解なものですが、「解き尽くす。未来を引きよせる。」というSpeeeのミッションと私の価値観が強く重なるからこそ、最新の課題と向き合い続け、それを突破する経験を積み重ねる楽しみを日々感じることができています。
ネット時代の新しいサービスの形を研究開発し、社会に提供していく
インターネットが更なる進化を遂げる過程で、デジタルトランスフォーメーションへの過渡は必然的な流れであると考えています。これまでのインターネットは、ユーザーとコンテンツの情報をオープン化して、より価値のあるマッチングを実現する手段であり、企業視点からは新しい集客をする手段だったというのが大きな潮流だったと思います。
しかし、ネットがさらに進化していくにつれて、ネットを使って商品やサービスをユーザーに届けるだけではなく、ネットユーザーのニーズに合わせて商品やサービスの形が作られ、社会に対し浸透し、深く入っていくように進化していくのではないでしょうか。ネット時代のユーザー特性やニーズに合わせて商品・サービスを形作るバリューチェーンが変容していく、それはデジタルデータの流通変化だけではなく、人や物などのリアル世界のトランザクションもセットで変化させていく産業全体のデジタルシフトと言えます。
例えば、タクシー配車アプリはデジタルトランスフォーメーションの一つの実現形態です。最初ネット経由で現在いる場所にタクシー配車を依頼できるシンプルなサービスでした。サービスを提供するプロセスで、これまで揮発・散在化してしまっていたデータを蓄積し、これまで実現されていなかった新しい価値を創出しています。
需要予測に基づき予めタクシーを回送させておき、ユーザーの配車依頼時に「迅速に配車する」というシンプル且つコアな課題解決を実現しています。これは、現在地や目的地の位置情報と配車データを蓄積し、渋滞情報や気象情報、地域のイベントデータなどの第三者情報を加えて分析することで高精度の需要予測を行う、従来のアプローチではなし得なかった新しいアプローチです。これは、タクシーや人のリアル世界の動きを変えることでユーザーに新しい価値を提供する事例ではないでしょうか。
ユーザーの本質的なニーズに合わせてサービスのデジタルトランスフォーメーション化が進む、こういった “サービスの進化” は今後も加速していくと思います。このように、我々も新しいユーザーベネフィットの創造と産業のデジタルシフトを実現すべく、多様なサービス開発にチャレンジしていきます。
ネットが浸透していくとデータの種類や量が増えていきます。しかし、データはあるだけだと価値がありません。散在しているデータを目的や仮説に基づいて収集し、整理・統合してソリューション化されて初めて価値が創出されます。
Speeeのコア・コンピタンスは「データインテリジェンス能力」です。データインテリジェンス能力は、単独では有効性が低い散在したデータ群から意味のあるインサイトを抽出し、プロダクトやソリューションに活かす力です。これこそがSpeeeがデジタルトランスフォーメーションを推進する上での強みとなっています。
事業者数の多い不動産業界の場合、各社集客や営業活動のデータは持っているものの、当たり前ですが各社で独自に管理・保有されているのが現状。しかし、データを適切に利活用すれば各社の収益性向上や業務課題の解決につなげることが可能となります。
我々が不動産会社様のビジネス拡大に貢献しつつ、合わせて業界全体を俯瞰して洞察することで、傾向値や成功パターンなどの示唆を得ることができます。その洞察からプロダクトやアルゴリズムを改良して新しいユーザー価値を創出でき、合わせて不動産会社様の収益と新しいビジネスの拡大に寄与できるのではと思っています。
このように、集客や不動産サービス提供の過程で得られる膨大なデータを利活用することで、ユーザーや不動産会社様にとってより良いサービスを開発・改良しています。ユーザーが査定や売却の依頼する、相談をするという体験が、デジタル上でより良いサービスとして進化し、提供できると考えます。
Speeeの強みは、テクノロジーと人の両面で課題を解決してきたことですが、私はリアル産業の課題に向き合うためには、人による解決の割合は一定増やしていくべきであると思っています。それは、テクノロジーが導き出したデータやファクトを元に、人による解釈を加えることで更により良いソリューションを導き出せると考えているからです。
これまで徹底的な仮説検証と改善の繰り返しからビジネスオペレーションを最適化し、生み出された付加価値をステークホルダーに還元してきました。現在、新しい付加価値を生むための取り組みを積極的に行っており、研究開発のプロジェクトや新規事業の取り組みを複数同時に走らせています。
データインテリジェンス能力で事業・サービスをアップデートし続けるSpeeeの強みを拡張し続け、新しい事業を新しい責任者とともに創出し続ける事業組織をつくっていきたい、これが私の想いです。
課題の真因に向き合い、思考し続ける人と一緒に働きたい
X-techの領域は業界的にも成長ポテンシャルが大きく、Speeeの中でも重要なポジションだと思っています。その中で現在のDX事業本部は、より大きな事業成長を実現すべく、既存事業のさらなる拡大をしつつ、新しい取り組みへ積極投資を両立していくフェーズです。現在、リアル産業のデジタル化は部分的に行われていて、サービス提供側がその段階で満足している可能性があると思っています。そうではなく、顧客理解をさらに深めていき、顧客のニーズにマッチしたソリューションを、長いバリューチェーンを進化させて提供していく必要があると考えています。
そのためにも、DX事業本部のValueの一つである「真因を捉える」ことができる人と一緒に事業を進めていきたいと思っています。最初にHOWではなく、WHYで考えられる人。それは、課題のメカニズムを理解し、目的を見失うことなく深く思考し続けることで解決策を導き出せる、そんな人だと考えています。
デジタルトランスフォーメーションは既存のサービスや産業のあり方に新しい価値観やアプローチを持ち込む存在で、これまでの常識や慣習を健全に疑い新しい形に進化を促します。そこで成果を出すには、表層的な事象や意見に惑わさることなく、自身の頭で課題や解決策を徹底的に考え抜き、誰もが疑う “真実” を導き出すスタイルが必要なのです。
SpeeeのDX事業本部では、どんな職種の方でも事業責任者や新規事業の責任者にチャレンジできる機会をつくっています。新規事業やサービスの企画をする専門部門は意図的につくらず、どの部門や職種でもその創造性を活かして新たな付加価値創出に携われます。
自身の強みを活かして新しい事業やサービスづくりにチャレンジしたい方、業種・業界に依存しない汎用性の高い問題解決能力や事業経営能力を身につけていきたい方、そんな風に事業・サービスづくりを本気で楽しめる仲間と新しいチャレンジをし、サービス同士を有機的につなぐことで大きな事業成長を実現していきたいと思っています。